シャドウゲイトというゲームをご存知でしょうか?
ケムコから発売されたファミコンソフトで、ゲームボーイカラーにリメイクもされているそうです。
リメイクされているということは、名作だろうとお考えになる方も多いと思います。
実際、このゲームにはいまだ根強いファンの方がいらっしゃいます。
ゲームのジャンルはファンタジー世界を舞台にしたアドベンチャーゲーム。
サラダの国のトマト姫や、ポートピア連続殺人事件などに似ています。
つまり、行動を選択し、行う対象を選んで進めていくタイプのゲームです。
例を挙げると、扉を開けるなら『あける』を選んだ後、
画面内の『とびら』のグラフィックを選ぶと扉が開くようになっています。
また、行動の対象に自分を選ぶこともできます。
たとえば、めがねをつかう対象にセルフ(なぜ英語)を選ぶことでめがねをかけることができます。
まあ、これだけ書けばただのゲームですが、シャドウゲイトはただのゲームに終わらない理由があります。
それは、主人公の壊れっぷりです。
まず、この主人公、ちょっと素直すぎます。
例えばたたく→セルフとやると。
ゴン ゴン!!
あっ めから ほしが・・・。
かなり間抜けです。
それと、主人公の独特の言い回しも素敵です。
まず、自分を調べたとき(しらべる→セルフ)のときのセリフ。
わたしこそ しんの ゆうしゃだ!!
多分、勇者というものは他人からそう認められたときに呼ぶものであって、
自分で自信満々に宣言するものじゃありません。
それをこの男は、なんと誇らしげに、
自分以外誰もいない状況であるにもかかわらず堂々と宣言するのでしょうか。
これはまだ序の口です。以下の文章は、彼が棺だらけの石室に入ったときのセリフです。
えんぎでもない!!
このへやには ひつぎが はんダースも!!
半ダース!!
真の勇者は数の数え方も一般人とはかけ離れています。
まるで棺をビール瓶のように扱う彼の豪快さが目に見えてくるようではありませんか。
次に紹介するのは、主人公がミイラを調べたときのセリフです。
ほうたいが パサパサに かわいている。
・・・ふふ。
たきびの ざいりょうには もってこいだ!!
ミイラを焚き火の材料に!?
早稲田大学の吉村作治先生もびっくりです。
きっと、とりあえずあるものは何でも利用しようという神経がないと、勇者にはなれないのかもしれません。
ただ、このゲームは勇者だけが壊れているわけではありません。
途中で預言書というアイテムを手に入れるのですが、それを調べてみると……
そうとう ふるそうな ほんだ・・・。
なになに・・・。
ほんの だいめいは・・・。
「よげん」か。
まんま!
シンプルイズベストといいますが、いくらなんでもシンプルすぎです。
まあ、このタイトルに疑問をもたない勇者も勇者ですが。
最後に、このゲームの最大の魅力である、主人公の死に様の一部を紹介したいと思います。
シャドウゲイトは死に様のパターンが非常に多く、むしろそれを楽しむという人も少なくありません。
最初に紹介するのは、ある部屋にある地下へのはしごをつたって下りていったとき。
わたしは くらやみを はしごづたいに おりていった。
はっ はしごが ない!!
おもわず あしを ふみはずして しまった。
くらやみに らっかして しぬことは
わたしの うんめいだったのかも しれない・・・。
ざんねん!!
わたしの ぼうけんは これで おわってしまった!!
さすが真の勇者。はしごから落ちるのを運命として受け入れています。
一般人ではこうはいきません。私だったらそんな運命お断りです。
っていうか、はしごを下りてるのだから腕で踏ん張れば落ちずにすみそうなものですけどね……
それと、
ざんねん!!
わたしの ぼうけんは これで おわってしまった!!
という部分は死ぬたびに出てくるので、以下では省略します。
では次に、探索中にたいまつの炎が消えてしまったとき。
ああっ ひが・・・!!
たのみのつなの ひが きえてしまった。
くらい!! みわたすかぎり まっくらやみだ!!
わたしは あかりを もとめて てさぐりで
いどうしようとした。
ゴンッ!!
そのとたん あしがすべり かべに きょうれつに
たたきつけられてしまった。
落ち着きがありません、勇者。
とりあえず、滑って転んで壁にたたきつけられるのが真の勇者の死に様みたいです。
勇者になんかなるもんじゃありませんね。
そして、これが極めつけ。おそらく勇ましさから言って勇者の名に恥じぬ死に様です。
燃え盛る炎の中へ、主人公を移動させたときです。
普通のアドベンチャーゲームの主人公なら拒否するような行動ですが、さすがは真の勇者、やることが違います。
うおーっ!!
わたしは さけびごえを あげ ほのおの なかへ
ホップ ステップ ジャンプ・・・ かーるいす!!
わたしは もえつきてしまった。
…………
もう、なにも言うことはありません。
シャドウゲイト、機会があったらぜひプレイしてみてくださいね。
普通にゲームとしても面白いです。